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「和階堂真の事件簿 - 処刑人の楔」感想


ハードボイルドミステリーアドベンチャー「和階堂真の事件簿 - 処刑人の楔」をクリアしたのでその感想です。
が、推理ものということで今回はネタバレなしで!感想を書きます!

あらすじ

1980年代のH県K市が舞台。
1981年から82年にかけて首のない死体が電柱から吊るされる事件が起きており、83年の同市にて、3件目の首なし死体が発見された。死体のそばには血で描かれたシンボルのようなものもあり、新興宗教団体の関与も疑われる。
プレイヤーは「和階堂警部」を操作して、事件の真相に迫る。

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感想

河川敷で発見された首なし死体の真相を追う、ドット絵の2Dアドベンチャーです。

Twitterでアプリ公開宣伝のツイートを拝見して興味を持ったんですが、1980年代、新興宗教絡み、首なし死体……もう、この段階でワクワクですよね。そこへ更にハードボイルド、2Dドットな要素が加わり無双状態。


ビジュアル面ではとにかくドットが細かくて素敵!
描写の細かさももちろんですが、アニメの動きの細やかさ、なめらかさがすごいです。やっぱり、リアルさの根幹は解像度の高さや精細さではないんだな……というのをしみじみ感じられました。高精細高解像度ももちろんリアルさの一要因ではありますけど、それ以外の場所にだっていくらでもリアルさって潜んでいるし感じられるんだなと。


音楽もまたハードボイルドでノスタルジック、気怠げで渋く、煙草の匂いでもしてきそうな雰囲気があるのに軽やかで心地いいサウンドは臨場感に溢れています。
推理モノのBGM、特に推理中なんかに流れるBGMって、作業中にずっと聞いていても気が散らない、いい意味で環境音になれるような名曲揃いだと思っているんですが、こちらの作品のBGMもそんな感じです。オシャレな街の喫茶店とか、しっとりおちついたバーで流れていそう。


「探偵 神宮寺三郎シリーズ」あたりが好きな人なんかに刺さりそうな感じですし、サクッと遊べるので推理ものはあんまり…って方でも気楽に挑戦できると思うので、ぜひ。



パートごとに一問一答的な推理が入るのも嬉しいです。探索パートと推理パートのバランスがちょうどよかった。


しかもなんとこのアプリ、推理を一度も間違えなければ広告動画が一切表示されないです。
いいんですかそんな……って感じ。あらゆるアプリゲーがいかに自然に、いかにストレスなく、広告をたくさん見てもらうかに心血を注ぐ中、潔いほどに広告表示は推理失敗のペナルティ要素なんですよ。なのにどこにも課金や投げ銭のボタンがない……なぜ……。
UIも、ドットも、音楽も、もちろんシナリオもみんな大変リッチで、すごいクオリティなのに……。


最後の最後に明かされる衝撃の事実、本当にまったく疑うことも、予想もしないまま進めていたところだったので思わず膝を打っちゃいました。
クリア後に意味が変わって見えるタイトル、最高です。


で、こちらのアプリで個人的に特筆すべき点だと思ったのがシステム面の快適さ
得た情報を相手に突きつけて新たな情報を引き出していくオーソドックスなタイプのADVではあるんですが、今いる章であと何個情報を集めればいいのかが表示される親切設計。さらに、エリア移動を行った際にはその場所に取り漏らした情報がないか教えてくれる。

こ、こんなに親切でいいのか……。


だからといってあまりに簡単すぎるというとこもなくて、程よい難易度だと思います。中盤あたりから手持ちの情報が増えるため、どの情報を突きつければいいのかわからなくなってくるんですが、手数に制限もないのでいざとなれば総当たりで抜けられるのもありがたい。


非協力的なバーのマスター(ちょっとオホーツクのルブランを彷彿とさせる)、何も知らない被害者の妻、新興宗教にどハマりして指を切り落とした信者などなど、関係者の個性も光っています。


なんというか、いい意味で2時間ドラマのようなシンプルさとコンパクトさがあるゲームでした。最後のエリアのおかげで余計そう感じるのかも……?
シンプルでコンパクトだからといって内容が薄いなんてことはなく、推理ゲームとしての楽しさは存分に詰まっている感じ。一つ一つ情報が明らかになって、行ける場所が増えるっていうのもそれだけで楽しいです。


総合的に、ものすごく完成度が高くて本当に無料でいいんですか?!が最終的な感想になりそうなくらいのゲームでした。
もしまた続編がリリースされるならぜひプレイしたいです。有料でもいいし、何日もかかる大作でもいいので!