ニホンゴ、チョトデキル

ゲーム中心フリースタイル妄言

【アイドルマスターSideM LIVE ON ST@GE!】「さいこうの夜」を偲ぶ

「こんや、12じ、だれかがきえる」

2023年になに書いてるんだって話なのですが、やっぱり成仏しきれないため4月1日という日を借りて色々と吐き出したいと思います。3152318361371%亡霊の妄言でしかないです。


かな~り長いため畳みます。
かまいたちの夜」の若干のネタバレも注意。



safariにて埋め込み動画の再生ができない場合は、こちらが参考になります。
Googleドライブからの埋め込み動画がSafariで閲覧できない #iOS - Qiita

「さいこうの夜」とは

ソーシャルゲームアプリ「アイドルマスターSideM LIVE ON ST@GE!」内にて2019年4月1日限定で開催されたエイプリルフールイベントアイキャッチ画像からもわかるようにかまいたちの夜」の超絶濃厚かつ強烈なパロディ
その内容の濃厚さについては後述しますが、ぜひともかまいたちの夜」ファン諸氏にこそ触れて欲しい出来栄えでした。

公式からの告知。


他のエイプリルフール企画と同じく1日限定公開狂ってる……であったこと、通常イベントと別枠扱いでゲーム内アーカイブに収録されなかったこと、「LIVE ON ST@GE!」が2021年8月31日をもってサービスを終了してしまったためメモリアルブック等への収録が2023年現在絶望的であること、など諸々の要因により今では半ば幻のような存在。


これは私自身の話になってしまうのですが、中学生時代にやりこんだゲームは?と聞かれて思い浮かべるタイトルは数あれど「サウンドノベルシリーズ(特にかまいたち特別編~×3/街/428)」が代表格、そして一応Mobage版をサービス開始初期からプレイし始め、そこそこ課金などしてライブにも足を運んでいるSideMという作品の組み合わせなんていう個人的に思い入れのある作品×思い入れのある作品のコラボであるため、自分の中でものすごいお祭り騒ぎが起きたわけです。そして4年経った今でもこんな記事を書くくらいには忘れられずにいる……。


じつはこのブログ自体も「いつか担当アイドル(アスラン=BBⅡ世と硲道夫)の両面SRイベントが来たときに備忘録を書くための場所を作るぞ!」って目的で作られていたりします。結局、実家(Mobage版)と別宅(LIVE ON ST@GE!)が焼け落ちたためその夢はこれから永遠に果たされないものになってしまいましたが。

濃度の高いパロディ

とりあえず手っ取り早く実際どのくらいネタが仕込まれてたのかを知りたい方は、「かまいたちの夜 特別編(PS Vita DL版)」と「さいこうの夜」の比較表を作っていますのでこちらをどうぞ。
docs.google.com
このブログ記事内ではすべてのネタに触れることはしていませんので、上記スプレッドシートの方が「どんなネタがあったの?」という部分を解決する手助けとしては有用です。


さらに本編(?)を文字起こしされているお方がいらっしゃるため、本編に触れてみたい方はこちらもどうぞ。問題があればこちらのリンクは削除いたします。
sidebillboard.weebly.com



ようやく覚えたボーゲンでなんとか麓のレストハウスまでたどり着き、ぼくは一息ついていた。

親の顔より見た冒頭の一節。
初代かまいたちの夜をプレイした人間だと諳んじることもできてしまうこの一節が飛び出た瞬間、全身の毛穴が開いたかと……。冒頭からこの会話、シルエット、画像ではお伝えできないのですがBGM、すべてが怒涛の勢いで畳みかけてくるので深夜12時にあまりの興奮で手が震えたのを覚えています。


原作「かまいたちの夜」だとここで声をかけて来るのはガールフレンドの真理(まり)ですが、「さいこうの夜」の人選が彼らなのは恐らく「いた」と「ゅう」だからでしょう。この二人はMobageソーシャルゲームアイドルマスターSideM」にてウィンタースポーツが得意という設定も明かされ、スキーやスノーボードの商品PRの仕事を一緒にこなすイベントなどもあったため、どちらの作品に依った理由だとしても違和感なく、自然な人選と言えます。
ここでもうオタクは最高潮か?!と思えるほど大興奮してしまう。
なんというか、ただなんとなくのキャラの当てはめでじゃなさそうな場面がチラホラあるんですよね。


おおよそ本編(ミステリー編)をベースに話が展開しつつ、ユニットによっては派生シナリオの色をガッツリ出してきているのも良かった。

  • DRAMATIC STARS → 不思議のペンション編
  • Beit → 鎌井達の夜編(Oの喜劇編)
  • S.E.M → スパイ編
  • Legenders → 悪霊編

確実にこれが元ネタ!というのがわかるのはこの4ユニットくらいなのですが、逆に他ユニットは明らかな流用がまったくない部分から「かまいたちっぽいな」と思わせる雰囲気が醸し出されていて舌を巻きました。その中でもTHE虎牙道なんかは異彩を放っていましたし。


それっぽすぎて「この曲は本家から借りてきてる?」と勘違いするようなBGMたちに混じって、かまいたちファンには馴染み深いあの音っぽいSEが聞けるのが個人的にめちゃ嬉しポイント。
デドー!(迫真)


「雪山で遭難」「スキーのストックで刺される」などガッツリ透が死亡するEDに関しても言及があるので笑ってしまった。いや笑い事ではないんですが。「プラズマに襲われる」のは完全に存在しない記憶で笑う。
あと、あれもこれも元ネタがあるんじゃ?!の疑心暗鬼に陥っている状態だと、この胴上げのテンションが「犯人万歳!」に感じられて仕方ない。


そして特に嬉しかったのがこれ!
全ルート踏破で金のしおりがもらえる。
EDを見るとかではなく、ちゃんと「全話読む」が条件なのもまた嬉しい。ありがとうアイドルマスターSideM LIVE ON ST@GE!。ありがとうチュンソフト

プロデューサー=「透」?

犯人当て、もとい行方不明の山村がどこにいるのか?の場所当てにて「とおる」「まり」と入力した際に見られる特殊メッセージ。


この内容からして恐らく「さいこうの夜」におけるプロデューサーは「かまいたちの夜」の主人公・透なのだと思われます。まさかの透P爆誕なわけですが、各アイドルたちとの関係はかなり良好に見えますし、Altessimoの二人を外へ向かわせる際にできるだけ厚着をさせたり等の気遣いもみられ、案外天職なのかも。「真理の探偵物語」での助手というか雑用係っぷりもなかなかでしたし、縁の下の力持ち的なポジションの適性が高いのかもしれない。


ですが、ただ単純にイコールでもない可能性もあり。
エイプリルフール2日目翌日の4月2日になって、「さいこうの夜」が山村の見た夢だったことが匂わされます。
エイプリルフール翌日に謎詫び石をくれる事務員。

すべて山村の見た夢であったなら、あのプロデューサーは山村を通してあらわれた「山村の考える透」であり、記憶があやふやなところがあったり社長が不思議なことを言い出したりするのにも説明がつきます。
ただ、あれが本当に山村の夢であったのかは明言されていないところが良きです。
夢かもしれないけど、本当にあったことかもしれない、どっちかは読んだ人に委ねる、って匙加減。


SideMはメインのゲーム展開ではプロデューサの性別が明言されていないため、各々が思い浮かべるプロデューサー像を自由に設定して遊べるのが魅力のひとつ。
しかしアニメ版のプロデューサー(通称:石川P)のようにひとりのキャラクターとして実体のある人物を置くことで描ける物語があるのも事実で、今作のこの仮称:透Pの視点で描かれるノベル形式のSideMが自分にはとても楽しかった。プレイヤー一人ひとりを主人公として展開させるには、視点にあたる主人公の個性に繋がる地の文を排するのが定石かと思うのですが、今作は「かまいたちの夜のパロディ」「P=透」であることを上手く利用していたなと。


透Pのアイドルプロデュース珍道中、もっと見たいな。
そう思わせてくれるいいシナリオでした。
随所に他者への気遣いが見え隠れするテキストが非常に心地よかった。ただ過保護なわけではなく、仕事仲間としての距離を保ちつつ相手へのリスペクトがある感じで。
こういう素敵なお話を用意してくださるライターさんがちゃんと評価されますように。

特定ワード入力時の特殊メッセージ


犯人当て(犯人当てではない)もある!!
各ユニットの選択肢Aのルートを通ると社長から「山村はどこにいるのか見当はついたか?」と訊かれるシーンへ移るのですが、ただ入力画面へ遷移するわけでなく、ここにもきっちりネタを仕込んでくれているのが嬉しいです。ここでは狂言自白をしても刺されたり「犯人万歳!」の音頭と共に連行されたりはしません。有情。


先述の「とおる」「まり」の他にも、かまいたちの夜関連だと


かまいたち」「みきもと」「たなか」あたりにも反応してくれました。
かまいたちについて説明される際、背景とBGMが屋外の吹雪の様子に切り替わる演出までもきっちり回収されているのに本当に感動しました。芸が細かい……。
みきもとのことをフリーのカメラマンかルポライターで記憶がごっちゃになっているのも、他ルートと悪霊編どちらの要素も拾ってくれていて嬉しかった。
たなかでプラズマについての亜希ちゃんのコメントが出てくるの、本当に元ネタ好きな人が作ったんだろうな……というのが感じられて良い。


SideM側ではアイドル名・ユニット名への反応、「さたん」「かえーる」「にゃこ」等のアイドル以外のキャラクターを「315プロダクションの仲間」と言ってくれたり、「おとこみち」でラーメンについての言及、やたら種類豊富に天ヶ瀬 冬馬くんの名前間違いに対する反応があったりします。


しかし、315プロ、そして社長の代名詞とでも言うべきパッション」には特別な反応がない……。
これだけしっかり作りこまれている以上、パラレルワールド的な、いつもと何かが違うことを演出するために意図的に抜かれているのかな……。なんて思いました。


少なくとも制作された方々のパッションはものすごく感じるものなので、ネット上で発掘されている以外の語句にも反応があったのかなとやきもきします。「こばやし」とか入れそびれたなと。

各ユニットシナリオ

すべて触れているといくら時間があっても書ききらない予感がしたため、元ネタが非常にハッキリしている4ユニット、他のユニット、なんだかよくわからなかったTHE虎牙道にわけて触れていきます。
攻略については基本どのユニットも途中で現れる選択肢でAを選べば正解ルートで場所当てへ、Bを選ぶとトンチキバッドEDルートになります。

DRAMATIC STARS × 不思議のペンション編


「スキーして戻って来る間に名前が変わるわけないでしょ?頭でも打ったの?」
ちょっと辛辣な桜庭の態度と透に対してちょっと辛辣な真理の態度って親和性めちゃくちゃ高いんだな……と感動しまくったところ。



そしてド直球にお出しされる「不思議のペンション」

この地下深くに、誰も持ち帰ったことのない珍しい宝があるという……。

 A ……のは別のゲームの話だった。
→ B 「宝を見つけに行こう!」
  ぼくは高らかに声を上げた。


しっかり地下室っぽい背景も用意されていて感動。そして元ネタのゴブリンポジションとして現れる担当(アスラン)シルエットのラスボス

SideM側からもきっちりネタが仕込まれているのがいいですね。立ち絵だと常にメスと六法全書ガラケー装備だから……。翼は……翼……翼って……??
アスラン(前職:天才シェフ)のシルエットを使ったラスボスのくれる報酬が米。元ネタ「不思議のペンション編」では開けた扉から溢れ出してきた米に埋もれて圧死するEDがありますが、こっちでは安心安全、俵に入っているお米がもらえる。


トンチキでぶっ飛んだ話でありつつ、ドラスタの三人がさらに高みを目指すと決意を新たにし、その姿を見たプロデューサーも三人をどこまでも支えると胸を熱くする、というギャグだけどいい話
「さいこうの夜」全体を通して、急展開だけど超展開に感じさせない、強引だけど無理矢理ややっつけに感じさせない、なんというか押さえるべき部分をきちんと押さえられているな!という感覚があった。そしてその押さえられている部分が、自分にとっても押さえておいてほしい部分だったというか。そこが上手く噛み合ったからこそ「さいこうの夜」にはパロディのインパクトや謎の大きさの他にも強烈に惹かれるんじゃないのかなーと。
パロディだけど、ただ元ネタに乗っかるだけ、当てはめるだけ、ではなくて、どちらも引き立つようなシナリオが多かった。

Beit × 鎌井達の夜編(Oの喜劇編)

ベースは「鎌井達の夜編」。元々がメタシナリオなので突っ込んだ話題が飛び出る。社長だけ常にシルエットなことにも触れているのはめちゃくちゃ笑った。


ところでこの「俺たち、なんで、シルエットに なってるんすか?」という発言、どこかで透が似たような発言をするシーンが2か3にあった気がするのですが見つけられておらず。ここじゃない?って部分に心当たりのある方がいればぜひ情報を……。思い違いでそんなシーンないよって知らせていただけるだけでも助かります。


自分たちがゲームの中にいることを悟る恭二。「さいこうの夜」と書かれたカセットの中では315プロの面々が今日これまで辿ってきた行動を同じようになぞっていく……。と「鎌井達の夜編」と同じ流れを踏みつつ、ここで恭二がゲーム内の自分たちがゲームを始める前にゲームカセットを抜くことで窮地を脱出。
本編と違って入れ子が出来上がる前にゲームを中断することで助かっているのがいいですね。



キャプボがないためVita直撮りで失礼。

「鎌井達の夜編」EDを避けたことにより「Oの喜劇編」に世界線が乗り替わったっぽい。
チャート的にこの2シナリオはすぐ近くにありますしね。(右のEND21が『Oの喜劇編』)


最高すぎて手を叩いて喜んでしまった部分。
切っても切っても元ネタの濃い味がします。


S.E.M × スパイ編


クローゼットの中はスパイ編にて「真理が美樹本を隠した場所」、ベッドの下は「盗聴器が仕掛けられていた場所」ですね。


ベッドの下にあるのは盗聴器……ではなくUFO
「ベッドの下にあった不審なものを窓の外に投げ捨てる」流れがスパイ編と一致、さらにS.E.Mのメンバーが宇宙人スパイを名乗るためほぼ確定かと。



個人的に「さいこうの夜」で唯一助けてくれ~!!!!!と思ったのがここでした。
担当(硲 道夫)、アイドルを辞めるときは「今までありがとう」と言って別れることになるのかという感傷が寝不足の情緒にとても刺さった記憶。


元ネタスパイ編では殺されかかる透ですが、今作ではMIBのピカッよろしく記憶を消されることに。

でも、ステのP、あるいは透Pはそれを「嫌だ!」と跳ねのけ「一緒に連れて行ってほしい!」と伝えられる……。どうしてモバの最後はああなっちゃったんだろう。
「終」が出るため本編的にはバッド扱いですが、担当アイドル、そして山村とともに記憶を残したまま宇宙で活動を続けている様子からしてある意味ハッピーエンドとも取れるのがいいですね。S.E.Mと山村以外のメンバーが地球に置いてけぼり、もしかしたら自分たちの記憶を消されているかもしれない……と考えるとメリバの味がしますが。でもなんにせよ、全員とさよならEDではないのは救いです。


そしてバッドエンドでお馴染みのあの曲っぽいアレンジ曲


Legenders × 悪霊編

共通ルートから完全に悪霊編で大興奮。


的確な人選〜!
恐らくは家業で祓い屋のようなこともしていた雨彦さんが美樹本、透のポジションとして事件解決へ動くのはもちろん、十字架と安産祈願のお守り(それっぽく効きそうなものと悪霊にこれ?というチョイス)がクリスさんからの「エーゲ海の塩」と想楽くんからの「開運のお守り」になっているのもアツい。

元ネタでは安産祈願のお守りこそが効力を持ちますが、今作では塩をかけるのが正解になっています。
塩をかけることによってなぜか海なしの長野に流れ着いた海好きの霊が田中に取り憑いた状態で姿をあらわし、同じく海を愛するクリスさんと語り合うことで満足して去っていく(画像左)。これは元ネタ内で除霊グッズを選ぶ選択肢が出てから順当にEDへ向けてシナリオが進行している感じですね。
開運のお守りを使うBルート(画像右)では霊は想楽くんに取り憑きますが正体を知ることはできず、ひとしきり語るといつの間にか消えている。こちらは元ネタ的には選択肢が出る前、悪霊が暴れまわっているセクションに戻って話が進展していない状態。悪霊編には「終」にあたるバッドエンドがないですからね。
ちなみに、霊に対してぶつけるものを選ぶあたり悪霊編「目が覚めたなら」EDのルートをたどっているはず。終わりがほとんど同じであるものの「笑顔が戻るその日まで」に辿り着くルートではどの除霊グッズを使うかの選択肢がないので。



「クリスさんと語り合って満足したから去って行った」のか「雨彦さんがなにかしら除霊を行ったことで消えた」のか、どちらとも取れる終わり方なのが良い。

他ユニット


AltessimoのBルートはミステリー編の「決死隊」付近と「社長やってますわ」EDのハイブリッドっぽい。ジェニーも出てきてテンション爆上げ。「2人にできる限り厚着をさせ」るPがめちゃくちゃお気に入りです。
温泉旅館を切り盛りしながらもアイドル活動は続けており、それぞれが精力的に活動している雰囲気は「社長やってますわ」にだいぶ近い。しっかり不穏展開は回避しているし。
山村がどうにも真理ポジションに収まりがち。


Café ParadeのBルート、穴を掘って掘って掘りまくって進んだ先がメキシコだった……EDからは「かまいたちの夜2」の階段を下って下って降りきった先が賽の河原だった……EDと似た香りがします。しっかりメキシコで追い剥ぎに遭う(通称:メキ剥ぎ)フラグも立てているのがさすが。



F-LAGSのAルートにて「こんや、12じ、だれかがきえる」の謎がきちんと解き明かされているのが良かったです。
悪意のある人間はおらず、すれ違いによって謎が生まれていただけだった……(山村は本当に行方不明になっていますが、故意や過失の事件ではなかった)
しかしこのF-LAGSのBルートではアイドル達がキノコを食べて巨大化するのですが、どうやら彼らが巨大化して潰してしまった、まさにその場所付近に山村がいるようなんですよね……。一歩間違えるとちょっとホラーなシナリオ。
キノコを食べて巨大化についてはF-LAGSが不思議の国のアリスモチーフのお仕事をしたことがあり、かつ、メンバーの九十九先生がキノコ好きなところからきているのかと。

THE 虎牙道シナリオの謎

これは本当に何だったのか?
テイスト的には「かまいたちの夜」よりも「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」のテイストの方が強いように感じてしまいます。しかも「妄想篇」「陰陽篇」「わらび唄篇」あたりの雰囲気……。

共通部分とAルート

虎牙道シナリオの特異な点として、 まず1点共通部分とAルートに文章の差分があることが挙げられます。他のユニットシナリオにもあったのか?は不明。なにせ公開が24時間しかなかったから……。
Bルートに差分はないようですが、こちらは内容そのものに謎が多すぎる(後述)



・共通部分/Aルートパターン①
PがTHE 虎牙道に建物内の捜索を手伝ってほしいと説明する。「オレ様は行かねー」「頭下げるっつーなら考えてやらなくもない」と協力を渋る漣に、タケルが「同じ事務所の仲間がピンチなんだ。頭くらいいくらでも下げてやる」と頭を下げて協力を取り付ける。
ペンション内で山村を探していると猫が現れる。
誘うような猫の後を4人は追うことに。(Aルートへ分岐)
猫はペンションの外へ。漣がなにかが割れるような音を聞く。
吹雪の中、猫のつけた鈴の音を頼りにペンションの隣にある納屋へと辿り着く。
納屋の中では子猫たちが吹き込む雪で濡れ、弱っていた。4人をここまで導いた猫はこの7匹の子猫の母親なのだろう。
山村の姿もないため、猫たちを連れてペンションへ戻ることに。
猫たちの世話をしていると、トイレから戻った社長に山村の行方はつかめたかと訊かれる。



・共通部分/Aルートパターン②
PがTHE 虎牙道に建物内の捜索を手伝ってほしいと説明する。「あのヘナチョコは外だ!」と外の捜索を提案する漣「今さっきまで一緒にいたんだ。中だ」と室内の捜索を提案するタケル。「それなら、両方探そう!」という道流の提案を受けても漣は頑なに外を探すと言い張る。
膠着状態が続くためPの提案で厨房から調べることに。お茶でも淹れにいったのかもしれないと厨房で山村を探すが、見つからず。2階も探してみようと提案があると「2階だな……! なら先頭はオレ様だ」と漣が積極的に動く。
そのとき、鈴の音が響いた。鈴の音のする方へ歩くと、猫が現れる。
誘うような猫の後を4人は追うことに。(Aルートへ分岐)
猫はペンションの外へ。漣がなにかが割れるような音を聞き、ペンションを振り返って、2階の部屋を見ている。
吹雪の中、猫のつけた鈴の音を頼りにペンションの隣にある納屋へと辿り着く。
納屋の中では子猫たちが吹き込む雪で濡れ、弱っていた。4人をここまで導いた猫はこの7匹の子猫の母親なのだろう。
山村の姿もないため、猫たちを連れてペンションへ戻ることに。
そのとき、子猫たちのそばに見覚えのあるペンが落ちているのを見つける。
Pは納屋で拾ったペンを握りしめる。これと同じものを山村が持っていたような気がする。

猫たちの世話をしていると、辺りを捜索していた社長に山村の行方はつかめたかと訊かれる。



大筋は変わっていないものの、漣の行動が大きく変わっている。そして②のパターンでは①では見つけられなかったペンが見つかる。細かい部分では社長が談話室を離れていた理由も違う。


そして何故かどちらのパターンでもプロデューサーは猫に認識されていないかの如く無視されているのも気になるポイント。子猫をペンションへ連れ帰るためジャケットでくるむ、持っていた猫じゃらし(これも謎)でふれあいを図るなど猫に対して好意的に接しているにも関わらず、母猫がお礼を言うようにすり寄るのも虎牙道の3人に対してだけである。そこに到達する前から虎牙道の3人に猫が触れ合う描写は細かく入るのに、Pに対して猫の方からリアクションを返したり、自ら近寄るような描写は一切ない。


猫というと、この子猫の鳴き声に混じる「ボアァァ」は何者なのか。

「まぁ、いい。」じゃないんよ。


そしてこの子猫を助け出すルートがAルート、つまり正解側の平和なルートなんですよね。

さらに謎のBルート

・Bルートあらすじ
猫の動きに不信感を抱いたPは、そのまま猫が去るのを見送る。
気を取り直して2階の捜索を開始することに。
人が入りそうなところは徹底的に調べてみたが、山村は見当たらなかった。
その時、突然金切り声が部屋中にこだました。
耳をすませると、ズッと布を擦るような不快な音。ギシッという乾いた木の音。ゆっくりとこの部屋に向かっている。
虎牙道の3人は扉の先に、ただならぬ強者の気配を感じているらしい。
部屋の扉が開くが、扉の先には誰もいなかった。
すると突然、天井の吊るし電球がグラグラと激しく揺れだしたかと思うと、激しい音を立てて窓ガラスが割れる。「 テメェ、どーやって入りやがったッ!?」漣の驚くような声が聞こえる。
何かがいることを察知したPはアイドル達を守るため、前に飛び出した。
そこで激しい耳鳴りに襲われ、気を失ってしまう。


Pは事務所で鼻歌まじりに今日最後の業務であるメールを作成していた。
明日は、315プロダクションのみんなで行くスキー旅行だ。
ペンションのパンフレット、観光ガイド、トランプ。猫じゃらし、大きな籠、エーゲ海の塩は外せない。赤と黄色のカードはポケットに入れた、全員のお腹を満たせるたっぷりのお米はカバンの中。温泉旅行のパンフレット、宇宙服、たくさんのタオル。
よし! これだけあれば準備は万全だ!


なぜか耳鳴りがするような気がするのが少し心配だったが、早く明日が来るといいと願って、事務所を後にした。



妄想篇とわらび唄篇の味がするぅ……。


ループを匂わせる終わり方と、おそらくある程度ループの記憶を保っているのではないかと思わせる準備の品々。最後にPが準備しているものはすべて虎牙道シナリオ、あるいは他ユニットシナリオにて登場するアイテム。しかもシナリオ内ではアイドル達が取り出すためPが持ち込んでいないはずのものまで入っている。
旅行先で必要になるかもしれないものをなんとなく察知している様は、2のわらび唄篇を彷彿とさせます。もしかしたら虎牙道シナリオはそういう、セルフパロディとかちょっとメタっぽい方向性なのかも。


そして明らかに何か事件が起きているんですよね。「突然金切り声が部屋中にこだました」って。
そして「部屋の扉が開くが」と描写がある、つまり「扉は開いていた」。にも関わらず漣が「どーやって入りやがったッ!?」と反応している。部屋には普通に入れるはずなんですよ、扉も、ガラスが割れて窓も開いているから。物陰から誰かが現れたとしたら「 テメェ、誰だ?!」の方が自然なんじゃないでしょうか。
「どーやって入りやがったッ!?」……。どこに入られたことを驚いているんだろう?


侵入者の正体も一切不明です。
自分の思い付く可能性としては以下の3つ。

  • 悪霊(Legendersシナリオで語られたものの本命の方)
  • かまいたちの夜」の犯人
侵入者は悪霊?

Legendersシナリオにてフリーライター田中に取り憑いた霊は悪霊ではないとのこと。しかし、雨彦さんはなにか思うところがあるようで「野暮用」を片付けにひとりで向かってしまう。葛之葉雨彦というキャラクターの性質を考えるとこれは十中八九霊的ななにかに関わることだと思われる。


つまりこのペンションには本当に「海を愛する霊」と「悪霊」の2種類が存在していて、虎牙道Bルートではその悪霊が部屋に侵入してきた、という可能性。
電球を揺らしたり、窓ガラスを割ったりは霊障っぽくもある。
そして漣は霊感・直感が鋭いことを暗示するシナリオがMobage版から存在しているため、今回の虎牙道シナリオで特に目立った動きを見せていたのではないか。


他のメンバーに悪霊が憑依した!という状況なら、漣の「どーやって入りやがったッ!?」も意味の通る発言かと。部屋じゃなくて「(そいつの身体に)どうやって入った?」みたいな。


しかしLegendersシナリオ内では雨彦さんがなにをしたか明言されないこと、「海を愛する霊」が落ち着く、あるいは想楽くんから離れるタイミングと雨彦さん帰還のタイミングが噛み合うことから、「海を愛する霊」に対してアプローチをかけていた可能性も相当に高いため、想像の域を出ない。

侵入者は「かまいたちの夜」の犯人?

エイプリルフールだからこその、夢オチ・パラレルワールド全開解釈。妄想とも言う。
Beitシナリオに美樹本がいたように、Pが恐らく透であるように、部分的に「かまいたちの夜」の世界と「山村の見ている夢」の世界が重なっている、という解釈。
かまいたちの夜の世界の上に山村の夢が重なった状態が「さいこうの夜」であり、その重なった部分から「かまいたちの夜」の世界が透けたり突き抜けてきてしまったりする。その透けてきてしまった部分が突然聞こえた金切り声や侵入者の気配だった……みたいな。


山村捜索で入り込んでいる部屋が2階の一番奥の部屋であるのなら、そこは「かまいたちの夜」における最初の事件現場(バラバラ死体の置かれている部屋)なんですよね。そこに犯人が戻る必要はないわけなんですが、敵意を持った存在、強者、と考えるとこの可能性もなくはないかなと。


でも、Pが倒れた原因は襲われたからではないんですよね。

侵入者は透?

これも完全に妄想。侵入者が犯人なんじゃ?と同じ理由付けで、現れたのが透だったのではないか、という想像。
Pも透である場合、ドッペルゲンガーに出会ったような状態になったか、それこそ妄想篇の「記憶の復活」のようなことが起きたか、透を見ることで自分が誰なのか思い出したか、いずれにせよ本物の透を目にしたことによって透Pは全てを忘れることにした
それでどうしてループが起きるのか……を考えると本当に妄想篇になってしまうんですけど大丈夫ですか?「耳鳴り」というワードがどうにも気になって仕方ないです。


しかし、漣のように行動に変化が起きる者、恭二のように「ここはゲームの中なんだ」と気付く者があらわれるあたり、「さいこうの夜」自体は誰かの主観世界(山村の夢)ともまた少し違ったもののようにも思える。


考えれば考えるほどな~んにもわからなくなります。
困った。

牙崎 漣はループをしているのか

共通部分とAルートのテキストに差が出る条件は完全に検証されてはいませんが、説のひとつとして「『さいこうの夜』自体を『はじめから』『つづきから』どちらで始めるかによって分岐する」というものがありまして。
そして漣の行動の差は「外の捜索を優先する(ペンション内の捜索をしない)」「2階を気に掛ける」「2階へ向かうのであれば、自分が率先して動く」あたりに集約されている。ペンションを、2階を捜索するとどうなるのかはBルートを見ると明らか。
つまり「はじめから」物語を始め、その中でも一番最初に選ばれた虎牙道シナリオの「何も知らない漣」は捜索自体に積極的ではなく、ペンション内の捜索自体への忌避感も持っていない。しかし「つづきから」始めた「何かを知っている漣」は、捜索をするのであれば外から、2階のとある部屋へ向かうのであればリベンジのためか、本人は認めずとも仲間のためか、自分から先頭をきっていく。


Pがループしているのであれば漣もループしている可能性がある。
というより、ループは世界単位のものであるはずなので、ほかの誰も引き継げていない記憶を、漣だけかすかに引き継いでいる……という感じなのかも。この世界が「山村の夢」であるのなら、震源地は山村か、山村の見ている夢の主人公であるPのどちらかの可能性が高いため。


しかし「山村の見ている夢の主人公であるP」、つまりそれって「自分を透、あるいはPと思い込んでいる山村自身」なのでは……?でも山村は完EDで出てくるし……みたいなこんがらがり方をします。これが山村の見ている夢なら、主観視点であるP以外の人物はみんな山村の作った夢の中の人格になるため自由意思に目覚めることもなさそうだし……。とか。DDLCでもハマった部分に落ちていってしまう。


さらに。Aルートにて外へ出た漣が「何か割れるような物音」を聞く。そして条件によってはそのとき「ペンションの2階を見る」。
タイミング的にはBルートを選んだPと虎牙道が2階の部屋で怪現象に見舞われている頃なんですよね……このとき窓ガラスも割れている
漣の耳にだけ届いた音は並行世界の自分たちに降りかかった災難の証なのか、それとも、ペンション「シュプール」での事件の幕開けを知らせる音だったのか。


やっぱり考えれば考えるほどな~んにもわからなくなります。

背景の存在しない納屋

選択肢が表示されるまでは他ユニットシナリオ同様、場所にあわせた背景、キャラクターのシルエットがきちんと表示されています。が、分岐後からABどちらのルートであっても虎牙道シナリオの背景はほとんどが黒無地、そしてキャラクターのシルエットも表示されなくなるタイミングがある
地下室、不思議のペンション、談話室、異世界、宇宙……などなど細かく背景を設定していたからには「背景素材を用意できなかった」「背景を設定し忘れた」なんてことはないはずなんですよね。どちらのルートも終盤では適切なタイミングで背景、シルエット共に復活しますし、意図的なものかと。


具体的には

  • Aルート → 納屋に入ってから出るまで
  • Bルート → 2階の部屋の捜索中、扉が開いた瞬間からPの気絶まで

この区間には背景、シルエットともに表示がありません


そのため納屋の中の様子をビジュアルで捉えることができない。
そもそも元ネタの「かまいたちの夜」でペンションに納屋はなかったはずなんですよね。
納屋の中の様子が気になるし、中になにがいたんだ?


Bルートは扉が開くまでは部屋の背景が表示されているため室内の様子が確認できる。
ただ、S.E.Mシナリオにて捜索した部屋とは様子が違っている模様。S.E.Mシナリオでは2階の奥の部屋を探すと宣言があったため場所がはっきりしていますが、虎牙道シナリオでは2階のどの部屋を探していたかまではわからず。なので単純に別の部屋を探していた可能性もアリ。(しかし奥の部屋以外の各部屋には施錠がされているはずとの証言もS.E.Mシナリオで出ている)



そして、電球が揺れ始める前すでに画面は暗転している。
さらに言うと電球というワードが出てきて勘違いしがちではあるけれど、電球が壊れたとか、停電したとかは一言も言われていない。登場人物の誰も暗転について触れていないため、電気系統は正常、登場人物たちには同じように世界が見えているが、プレイヤーのみテキストとBGM以外の情報が遮断された状態になっている。なんで??


背景関連で他にも少し不思議なところ。
猫を追う選択をすると、ロード明けで食堂にいたはずの背景が瞬時に厨房に切り替わる(ずっと厨房にいたように話が進む)



「まだネタがある」と思わせるボリューム

全15ユニット、各2ルート、テキスト入力というインタラクティブなコンテンツがあるゲームを24時間限定配信にするんじゃあない。
これに尽きてしまうわけですが。
作った方ももっと見せたくならない?! ならないのかな……プロだな……。若干のホラーテイストやバッドEDの存在などで24時間限定が精いっぱいであった可能性など色々勝手に考えては目頭を熱くしております。


THE 虎牙道のシナリオに関しては差分まで発見されていますから、他にも何かあったのでは? と考えてしまうのが人のサガだと思います。ここまでのボリューム、完成度を誇っているからには「チュンソフ党の陰謀編」的な隠しシナリオもあったんじゃ……と邪推してしまう。まだ救いなのはテキスト入力の上限が6文字であることですかね。『ちゅんそふと』がギリギリ6文字で『ちゅんそふとう』までは入りきらないため、入れそびれた後悔をしなくて済む。


とにかく「かまいたちの夜」ファン、「アイドルマスター SideM」ファン、どちらとしてもあり得ないほど楽しませていただいたイベントでした。どちらの作品に対しても造詣の深い方が制作に携わったのだろうなというのが伝わってきて。本当に感謝と尊敬の念でいっぱいです。
2度ほど感謝のお便りを送らせていただいたのですが、こちらでも改めて、素敵な作品を世に出してくださってありがとうございました!


できれば全テキストをコンプリートしたアイテムなどが出ると心置きなく成仏できるのですが、難しそうなのが悲しいです。今からでも買い切りで販売してはくれませんか? わりと結構切実に。


以上!