ニホンゴ、チョトデキル

レビューじゃなくて感想/考察じゃなくて妄言

「大穢」青海√感想のようなもの

東京は八丈島より先の離島 大江島で行われる

ある女優の三回忌

探偵社に勤める大崎は

なりすましての代理参列という奇妙な依頼を受ける


R18、かつミステリー色の強い作品となります。
成人済・プレイ済の方の閲覧をお願いします。


adeltaz1.wixsite.com


前編の全要素を回収、青海ルートがあんまりに良すぎた勢いの、まったく精査されていない感想です。個人サイトに同内容をアップしたのですが、このブログの方が記事の見やすさが優るため転記。


致命的な部分は避けているつもりですが、個別ルートのネタバレいっぱい。

青海ルート雑感

このまま順当にいくとこのふたりが大穢の中でもっとも自分が推して参るカップリングの座を勝ち得るんじゃないかと思います。
お互いに相手がいなくても全然なんの支障もなく生きられて、お互いに相手がいなくなってもまっすぐ立っていられて、お互いに相手よりも優先順位の高いことがたくさんあるふたりが、それでもなんだかんだお互いに望んで寄り添っている、って関係が大好きで……常に糸をピンと張ったような空気を纏ったひとが、ふいに切れた緊張からグズグズになってしまうさまも大好きで……そして自分を「先生」と呼んでくれる人に恥じない生き方をしたいと努めているひとを眩しく思ってしまう……。


それと「もういない誰か(これは場所や時間の場合もある)を胸の中心に置きすぎてここじゃないどこか、自分を通して自分じゃない誰かを見つめがちな受に焦れる攻」みたいな謎にピンポイントな嗜好の部分も刺激されてだいぶ参っているところ。たすけてほしい。


ただ初回ルートでの個人的印象がわりと散々で涙していた新橋が、個別ルートでは初っ端からかわいさにアクセル全開で最終的にイッチャイチャのキュートなEDを迎えていたのでね、ニコニコで青海ルートも開始したんですけどね。まさか関係が陵辱から始まるとはまったく想像していなくてかなり愕然としました。青海ルートは一本道なのにバッド色の強い終わりだったらどうしよう……とかなり恐々進めることに。


このルートでは船野殺しの犯人が野放しになっているため、犯人の目星は早々についたものの緊張感ある展開が立て続けに襲ってくるのも不安を煽りましたし、なにより前編で個別ルートのある有明と新橋が真っ先にいなくなるのが衝撃でした。青海ルートでの大崎は初恋の相手が近くにいたことも自覚しないまま、墓の手入れがされなくなったことを残念に思うだけで、ひとりの"自分"として生きていくことになる。
島内でのクライマックスに自決を試みられたうえ、後日談でお盆の話なんかをされてしまってはもう、もしかして年に一度お盆の時期にだけ会える幽霊エンドなんじゃないかと心臓が震えあがる始末。
結果としては未来のある結末が用意されていたのでひとまずホッとしています。大崎、離島へ移住しないか?


そして青海が自らの体を傷つけたことで、参列者みんな体のどこかしらに消えない傷を負っているのでは、という疑惑が一歩確信に近付きました。これは後編が出るまでの間だけ吐ける妄言ですけど。


常に背筋を伸ばして折れることのなさそうな人がその実、自分の命をなげうってでも成し遂げたい使命のようなものに支えられているだけ、本当は芯を抜かれると立っていられないくらいボロボロ……みたいなのにとても弱いです。青海しかり、ノーサンの琉しかり。
そんなふうにボロボロで自分は弱いし苦しいしもう殺してほしいと言われながら、芯になっていた人の代わりにはなれず、どんどん思い出の中で綺麗になる芯になっていた人を追い続けるそのひとに、生きていてほしいと願い続けいつか添え木くらいにはなれるようにと寄り添うばかりのひとも好きです。

あなたに愛されて。何が変わるんですか?

これって結局、相手が誰で、相手との関係が何であっても「何も変わらない」が答えなんじゃないかなと思うわけです。

だけど愛とは残酷で、相手に受け取られて初めて成立するもの

奇しくも冒頭で静馬が言っていたコレなんですよね。
差し出す側もそうだけど、受け取る側もまた、愛されるだけじゃ何も変わらない。これは恋愛に限らず。青海はこれから宿から出るとき身に着けたネクタイのようなものを拾い集めて、自分を支えられるだけの、生きるに足る愛がもうあることを実感として受け止められるといいな。大崎はそれをもう青海が持っていることに先に気付いている。


だから最後のスチルのシーン、名前で呼ばれても振り返らないが、「先生」と呼ばれて振り返る青海っていうのが、この段階でのふたりの距離を感じられてすごく好きです。まだまだ全然大崎から向けられる気持ちで何が変わるわけでもないけど、島にいたときのまったくの無関心よりほんの少し、プラス側に針が動いているのも感じられる。希望がある。
でも、呼び寄せられた参列者としてじゃない距離なら笑みも見せてくれるものの、その名前を扱っていいとまでは心を許していない。心と体がイコールの関係じゃないことの証明もされている。大崎はこれからその心身それぞれの距離感の違い、体ばかり先に進んで置いてけぼりの心に悔んだりするかもしれないけど、がんばって最終的には足並みがそろったと思えるくらい気を許しあえる相手になってほしい。お互いに。
そうしていつか大崎も本当の苗字は違うことを明かして、なんなら名前で呼んでもらえるといいね。……プレイヤーは大崎の下の名前って知らないんだ。(初期資料集に載ってたらゴメン、事前情報入れたくなかったからこれから買う予定です)


そういえば学校の先生って公立校だと転勤の可能性もあるんですよね。
毎回すこしのヒントを残して転勤する青海と毎回しっかり転勤先に姿を現す大崎とかもあるのだろうか。
私立校には基本的に転勤の制度がないそうなので、その場合は大崎、離島へ移住しないか?

心なしか
皆様お顔立ちもよく似ていらっしゃる

でもってこれやっぱそういうことなんですか????
静馬と大崎の顔が瓜二つな理由も、静馬が大崎を「弟」だとする理由も、同じ?? O型以外の血液型がまだ出てこないのも???
それぞれのルートで誰もがなんの躊躇いもなく、同性であることを理由に気持ちを疑ったり、突き放したりしないのも、もしかしてタナバの血を引く者同士は惹かれ合うみたいな呪いじみたなにかのせいだったりしますか??? 青海が自分を引き取ってしっかり育て上げてくれた母ではなく、父の方に気持ちを傾けてしまったのも青海父が大江島に連なる者だったから、とかあり得る???
怖くなってきた


猫の話も、ここで出てくるのになにか意味があるんじゃないかと勘繰ってしまう。
急に女性というか子を産める性別の気配が濃くなった気がする。


あと内容にはまったく関係ないんですが、parade作品なんかだと濡れ場の比重が高いからか*をしっかり慣らす描写があっただけに、今作のよしやるぞ!→即挿入って流れで毎回痛くない?! の顔になっています。そもそも入るんですか?! ……入ってるならいいか……いいのか……?

キャラクター

大崎

大崎、青海に対してはだいぶ相手の幸せを願っているのに嫉妬を覚えてその腕を掴んで引いてしまうタイプの攻なんじゃないかと思っています。そういう、たとえ笑っちゃうくらいの大片想いでも「自分が」と前に出ていく姿勢がかわいい。
今を、自分を、ちゃんと見てもらうために駆けずり回る攻が大好きなんですよね。


個人ルートに入らなくても有明とは友人として仲良くなれるのは嬉しかった。惚れた腫れたがないと距離を縮められないのは寂しいので。そんな友人である有明殺しの罪をなすり付けられて、このルートでは「何故善人でいさせてくれない」と新橋に怒りをぶつけたときよりも、なんだかずっと怒っているところを見せられた気がする。友人をつくらない主義なのはやっぱり、大事なものが増えるのを恐れてと、こんな自分がという気持ちがあってのことなんだろうなあ。
そうやって頭に血が上った状態で人質にした犯人候補の青海を殴るでもなく辱めて、結局自分の方が耐え切れずに吐いてしまう。プレイヤーにはもっと怪しい殺人犯が見えているのでここはかなり歯痒くてやるせなかった。
大崎にも暴力的な衝動があるけれど、忍耐力が人一倍、さらに自分のそういった衝動に対する恐怖心も人一倍だからいつもは耐えられるはずなのに。それを飛び越えるくらい、懐に入れてしまった人間があんな殺され方をしてしまったことが強烈だった。

あなたに裏切られても
許せるだけの代償を、
先に要求させてください

ルート全体の部分でも触れましたが、これがふたりの切欠になってしまったのが切ない。
でもここで大崎の要求が気の済むまで殴らせてくれとか、逆に理性総動員で衝動的な行動に出なかったとしたら、このあとふたりはあのようにならなかったんだろうなとも思う。青海が大崎のことを完全なる他者として自分の世界に入れていないから。ここで一線を越えていなかったら終盤あの場面で大崎が一歩踏み出していたかもわからないから。
たぶん出会ったときには時間も足りず、すでに言葉だけで青海を引き止めて振り返らせることができる段階を過ぎていて、彼を一旦無理矢理にでも現世に繋ぎ止めるにはこの、大崎からすれば醜い本性を晒け出すしかなかった。


嫌だと本当の意味で制止をかけるのが青海だけなので比べようもないのですが、そう言われて大崎が止まらない、今のところ唯一の相手なのもわりと意外。有明や新橋が相手なら律儀に身を引きそうなのに。
そういう点、もしかすると現状大崎が一番ワガママできる相手が青海なのかもしれない。
……どうなんだろう。ワガママというか、無体というか。優しくしたい本心があって、それでも止まって逃げられてしまうのが嫌だと思っていそうというか。


大崎は本当に恐怖心が薄弱で、青海の恐怖心は目的のために握りつぶされたもの。大崎にとって善悪は非常に大きな意味合いを持っていてそのために合理性を捨てることもあるけど、青海は善悪よりも目的達成の確立がより高い合理性を重んじる。
だから大崎は誰かと必要以上に仲良くなることを恐れながらも、なるべく相手に寄り添ってあげたいと行動していて、俯瞰的に合理的に自分含め人を駒に見立てて動かせる青海とは致命的な部分で衝突してしまう。
似ているようで根っこの部分がまったく違うふたりっていいよね……と思いながらも、青海がここまで合理性の鬼みたいに振舞っているのが悪人に徹することで決意が揺らがないようにしている可能性がだいぶあると思っているので。青海エンド後にこのあたりどうなるのかとても気になります。

青海

てっきりかたぎではないと思っていました

これ。
正直ルートクリアしてみて一番おどろいたのは彼がカタギだったことなんですよね。あの身のこなしで?! 弓道部と柔道部の副顧問やってるだけでこんな鍛えられるかな?!
人物情報を読むにもしかして自分がどう見られているか気付いていて、護身術として色々と身に着けていたってことかもしれませんが……あの内容普通にビックリしちゃった。それなのにわざわざ離島の男子中学校に移ったと人物紹介に書かれているのも気になるんですよね。もしかして共学の学校で父と同じような目に遭いかけたとか?
追記:都内の中学から離島の中学へ移った理由、これ単純に東雲君の一件があったから、ってことかもですね。良くない方向に考えすぎかも。


大崎、やっぱり離島へ移住しないか。普通より強そうな成人男性なのは理解しているはずなんですが、なんか心配になる文言が多いんだ。


メガネやライターが父の遺品ということで、新橋ルートで竹芝にメガネを壊されたこと、内心でかなり腹に据えかねていたんだろうなと思うと味わい深いです。メガネを上げる所作、傘を回しているシーン、これまで読んできた部分を再読すると色々な発見のありそうなひと。
振り向いてほしかったのは父だけど、今の彼を彼のかたちに育ててくれたのは血のつながらない母の教えてくれたこと、分け与えてくれたことなんだなと思います。ここで血縁のない母に惹かれるでもなく、実父への執着を募らせるばかりだったところになんとなく血の呪いを感じてジットリしたものを感じる。というか実父への想いは普通に肉親の愛情を求める子どものソレって認識でいますけど、それでいいんですよね……?
大崎ふくめ前編に個別ルートのあるひとたちはみんな家庭環境に難がありまくりながらも、誰か一人は味方になってくれる人がいたって点もまあ共通しているのかな(大崎は新木場、新橋は祖母、有明も祖母は優しかったようだし妹との関係は良好そう)



そしてこの初回ルートで見せた年長者としての一面は、かなり青海自身のパーソナルな面だったんですね。もしかしたら他の参列者に「青海は自身の行いを心底悔いている」と印象付けるための発言かもしれないですが、個別ルート終盤の方でそれだけじゃないと思えたので。
この発言が本心から出たものなら自分はこのひとが一番好きだと思うんだけどな……嘘だったらショックだよな……と考えていたので、彼が正真正銘「先生」と呼ばれるに値する人間であろうとしていると考えてよさそうな性格をしていて本当に嬉しかった。


青海自身には直接的な罪はない、というのも、散々疑ってごめんの気持ち。「『悪人』を演じている」、これが青海の嘘だった。ただその裁かれるべき罪がないという部分が本人にはつらいのだろうなというのもわかります。引き合わせてしまった後悔は裁かれないままずっとある。もしかしたら父を独占していた子がいなくなってすこし喜ぶ心すらあったかもしれず、そういう後ろ暗さを糾弾してほしいのに案内状は父に届く。
後編予告を見て、そういえば大崎も含めた島内メンバーにはそれぞれ十纏の内ひとつが当てはめられていたよな~と思い、あらためて確認したところ青海は「嫉」でした。なるほどなあ……。
有明は無慚(内に恥じないこと)、新橋は慳(物惜しみ)、大崎は覆(罪を隠そうとする)。


書簡

3通目が開いたことでなんとなく意味が通り始めたと同時に、よくわからないゾワっとしたものが背筋に。
最後の最後に知らない人が出てきて一歩前進した感じ。


というわけで後編も今からすごくすごく楽しみです。
施主と目される人物には近付き始めているけれど、きっとこのまま一筋縄ではいかないだろうなという期待がある。
しかしここで大崎×青海にガッツリと心を奪われてしまったので、他のどのルートに行っても青海のことを目で追ってしまうのだろうな。彼の行動原理を思うに別ルートでは完膚なきまでに陥れられることも、生存者の様相が変わったことで早々に惨殺されてしまうことも想定して身構えておきます。