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「和階堂真の事件簿2 - 隠し神の森」感想


ハードボイルドミステリーアドベンチャー「和階堂真の事件簿2 - 隠し神の森」を(実際はだいぶ前に)クリアしたので感想です。

あらすじ

和階堂真の事件簿シリーズ待望の第二弾!

「閉ざされた集落で起きる神隠しの真相とは?」

1時間でサクッとクリアーできるポイント&クリック形式のミステリーアドベンチャー
iOS版ストアページより


公式サイトも用意されています。
ゲーム内でも使われているドット絵、ロゴ、ボクセルアートがカッコいい。
ttps://wakaido-project.info

【230224:追記】乗っ取りを食らっているか、運営を辞められたかで全く関係ない内容のページに変わっていたため、リンクを外しました。


各種DLはこちら。

apps.apple.com
play.google.com

感想


「閉ざされた集落」「神隠しの伝説」「腹に一物抱えた一族」「祟りじゃあ!」
などなど、どことなく横溝チックな要素の散りばめられた紹介からして期待がうなぎのぼり。
前作からすでにリッチだったドット絵やハードボイルドな雰囲気のBGMはさらにパワーアップ。自然豊かな山村、奥地の神さびた社、事件現場の山中、一族の住む豪邸、探偵事務所、などなど新規背景がてんこ盛り! どこか哀愁も感じさせる渋カッコいいBGMも投げ銭機能を使うことでいつでも聞き放題で、作曲者さんのコメントまで読めます!


システム面の進化にはかなり驚きました。
総当たりになりがちだった聞き込みパートに、メモをセットする段階で選択したメモで情報を聞き出せる人物がハイライトされる親切を通り越してバランスブレイクしかねないレベルの新機能まで追加! 前作ですでに必要な情報の数が常に確認できて親切だったのに、まさか更に快適に改修されるとは完全に予想外でした……すごい……。
同じく今作で追加されたヒント機能も併せてしまえばもはや向かうところ敵なし、推理ゲームと言うよりは一本道のノベルゲームの様相を呈し始めます。


個人的にはどうしても総当たりをしないといけない状況に追い込むことで「推理の行き詰まっている感」を体験させるようなオールドタイプな推理ゲームが好きなんですが、ここまで快適になると先述したようなノベルゲームとして割り切れる感じです。


シリーズのコンセプトが「ライト推理アドベンチャー」「50~60分でクリア」であることを考えても、聞き込みパートはそこまで重要ではなく、情報を集めた後の推理パートこそがゲームとしてのメインなのかなと。今作はとくに横溝チックな一族の方々+村民の面々と人物が比較的多めになっているので、記憶の新鮮なうちにサクッと聞き込みが終わった方が、あれ誰だっけ……みたいな無駄な労力を使わずにすんで快適なのは確実ですし。


前作同様、調べられる(タップできる)箇所にアイコンがついてわかりやすいのは個人的に超ポイントでした。
色数の限られた画面の中だと、人物以外のどの部分が調べられる箇所かわからずウロウロしてしまったり、タップできる箇所なのがわかっているのに狙いが定まらず行きすぎたりが多発しがちなのでこれは本当に助かります。ありがとうございます。


前作に比べると機能面がパワーアップしたこともあり難易度はやや易しめ。
そんなわけでサクッと気軽・お手軽にハードボイルドでミステリアスな雰囲気を味わいたい方にはかなりオススメです!
推理を主軸にしたゲームとなると必然的にボリュームもある程度必要になってしまいますし。


エンディングでモブも含めた登場人物全員が立ち絵つきでクレジットされる演出なんかも個人的にすごく良かったです。ドット絵が好きなので。
背景のドット絵がとにかく細かく緻密で、デフォルメの塩梅もとても好みな感じなので縦画面操作だったらスクショとってロック画面に設定とかしていたかもしれない。色合いも落ち着いていて一枚の絵としてすごくいいと思うんですよね、このシリーズのドット背景。


そういえば前作の感想で有料でもいい!っと言っていたら今作は初めから投げ銭機能が搭載されていたので、ばっちり投げ銭もさせていただいております。ありがたや……。


以下、ネタバレありの追記になります。
今作だけでなく前作である「和階堂真の事件簿 - 処刑人の楔」のネタバレもあり。


今作の主人公はタイトル通りなら「和階堂真」のはず……つまりこのタイトル画面にいるのは……?っとドキドキしながらプレイ開始して5秒、前作のオチを知っている身としては「その情報すぐ出していいんだ?!」とまた違った意味でドキドキしちゃいました。
というか公式の配信開始告知のスクショにもガッツリ祖父の文字が。


これはネタバレだと言われたことによりその情報がネタバレだと知る現象というか、なんにも知らない初見プレイヤーさんからしたら何気ない情報だしな……なんて思いつつ、それでも結構びっくりしました。
あの真くんがいつの間にか立派な刑事になって……。
びっくりしつつもニヤリとできる展開でした。


和階堂(祖父)と和階堂(真)のグラフィックが同じであることを利用した、過去と現在が混ざり合う展開はとても面白かったです!
確かに和階堂(真)はタバコを吸わないし、口調もそれぞれ少しずつ違う……。なるほど! となったあとに、また初めからプレイして色々と確かめたくなるギミックでした。


まだまだ前時代的な因習を残した山村、実権を握る旧家の傲慢さが招いた惨劇、復讐を誓う者、吊り橋の上での犯人との対話……なんておいしい素材をきっちり使い切っている印象でした。家の人間それぞれにどうしようもない、黒い部分みたいなものがあって、きちんとキャラも立っている。動機も納得のいく、やっぱりいい意味で2時間ドラマ的なコンパクトでスマートなお話でした。
一点だけ、トリックについて猫にそこまでさせられるかな?!っていうのはありましたが。
犬ならもうちょい納得度が高かったような……?
ただ、総合としては大満足!
今回も楽しい体験をさせていただきました。


第3弾である「和階堂真の事件簿 - 影法師の足」もクリアしてとっても楽しかったので、また折を見て感想など書きたいと思います。