ニホンゴ、チョトデキル

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「死噛 〜シビトマギレ〜」プレイ記/第一章


ボリュームのある作品に対しては最後にまとめて感想を書くより、進行度ごと小まめに新鮮な感想を残しておけばよかったな……と感じたため、これからはプレイ記もじわじわ増えるかも。メガテンVの感想兼プレイ記がわりと長くなってしまったうえ、最後にまとめたせいで新鮮さが損なわれていた気がしたため、その反省も含めて。


ということで、心霊ホラーシリーズ第3弾「死噛 〜シビトマギレ〜」のプレイを開始したので、プレイ記を残していこうかと。まずは第一章をクリアしたのでそこまで。

あらすじ

東京都H市にある名門『近衛原学園』。
そこで、奇妙な噂が流れていた。

【シビトが死を宣告する】

発端は、数週間前に起こった生徒の失踪だった。
――公式HP「あらすじ」より抜粋・引用

shinigami.jp

プレイ前感

前々作「死印」、前作「NG」から連なる「心霊ホラーアドベンチャー」シリーズの3作目。
前2作のファンであるため、開発中のクラウドファンディングにも参加してみたりと期待値はかなり高めの状態からのスタートです。そのわりに他の積みゲーが多かったりでなかなかプレイできておらずでしたが……。


恐怖演出のON/OFF(残酷描写・ジャンプスケア要素で個別設定可)があるのはこの手のゲームが苦手な人には良い設定なのかも?
しかし、CERO:Zのゲームをわざわざ購入するような人間に必要な機能か?と考えると若干疑問かもしれません。自分もジャンプスケアはどうしても苦手というか、ホラーじゃなくても急な物音には弱いたちなんですが、ホラー作品である+制作陣の想定する100%を味わいたいためどちらもONでスタート。残酷描写についてはせっかくのスチルが表示されない可能性すらありますからね。


登場キャラクターの個性がとにかく強く、近年の貞子やジェイソン、エイリアン的な「匿名性を失った末に恐怖が薄れる(極端な話が萌えキャラ化)」方向にいきがちかと思いきや、人間のキャラクターと怪異とで味付けが変わっているおかげで「人間キャラにはキャラ萌えできつつ、怪異の存在はある程度の匿名性が保たれちゃんと気持ち悪いまま」という絶妙なバランスが取れている稀有な作品かと思います。そのあたりにいそうな誰か、要はモブが巻き込まれる話は怖いけど、寺生まれのTさんみたいになってくるとキャラクター性が強すぎて怖くなくなるって話なんですが、デザインされたキャラクターを扱う以上どうしてもTさんに寄ってしまうので。
そこに説得力をもたせているのが圧倒的「わかっている感じ」イラストレーター陣。1作目の「死印」段階でコンセプトアート/怪異デザインに「友野 るい」氏を招いているのが、今シリーズに対する個人的な圧倒的信頼の根源であったりします。「純生 文屋」氏の手掛けるキャラクターたちは前述の通り個性が強いものの、イラストのテイストが今風でありつつ背景の重厚さに馴染む、かなりの褒め言葉としてあまり萌えっぽくないリアル寄りな風合いをしているため雰囲気が壊れていないのも流石。
キャラクターには個性豊かな味付けがされつつ、しかし雰囲気は壊さず、そしてイベントスチルはリアルタッチなイラストによって人物の匿名性が上がり恐怖イラストとして質が高い……と個人的にビジュアル面に対する不満はほぼほぼない状態です。
ただ唯一お色気的スチルが存在していることに関してのみ不満というか「違う 違う そうじゃ そうじゃない」となってしまうので、ここだけ変わってもらえると嬉しいかなと思います。日常パートでお色気スチルが入るならまだ許せるんですが、怪異に襲われてる! な緊迫・恐怖のシーンで女性の服がはだけてたり、対象の描かれ方がキャラクター寄りで匿名性が低かったりするとどうしてもスン……となってしまう……。今作も1話目からその傾向があるのだけ少し心配です。それもあって襲われるなら男性キャラの方が怖くて緊迫感のあるイラストが見られて好きだったり。


しかしそれを差し引いても圧倒的な雰囲気作りの勝利というところで、多少の操作性の悪さなんかもものともせず楽しめるポテンシャルがあると感じています。今後ももしあるのであれば、このビジュアル方面での方向性は失わないでほしいところです。


以下、ネタバレありで1話のプレイ記になります。
ネタバレありですがスチル類は載せません。


前作「死印」の主人公が、死印での事件を解決した後『近衛原学園』という名門校へ招かれるところから話がスタート。
どうやら死印事件で知り合った面々とは交流が続いているようで、その内の一人から学園側に紹介があった模様。あらすじでも触れられている怪事件の解決、というよりは「怪異なんてものは存在しない」というお墨付きを得るために主人公が呼ばれたらしい。これは絶対になにかあるパターンのやつ。



依頼主の学園長。
公式のキャラ紹介にもある通り、堅物オーラはまったくなく、怪異がどうみたいな話が出てきてもきちんと話を聞いてくれる何気にすごい人。新任ということもあって手足に使える部下がいないと言っていましたが、専門家として呼んだ主人公に調査を丸投げせず自分も同行してくるあたりわりといい人そうです。前作登場の翔くんと同じ怖がりオーラを感じる……。



主人公が相変わらず「八敷 一男(デフォルトネーム/変更可)」を名乗っているのが結構嬉しいポイント。


学園で近ごろ頻出している「シビト」にまつわる噂の調査が主人公に課せられた仕事です。
そもそも放課後は生徒の居残りを禁止しており、事件など起きようはずがない……というのが近衛の言い分なわけですが、ふたりで校内の見回りを開始したところ案の定教室に生徒の姿が。どうやらシビトからの犯行予告が掲示された後から様子のおかしかった友人が、予告当日であるにも関わらず姿を消したため探しているとのこと。
人もいないのにピアノの音がした音楽室にて今回のシビト「ハナコ」が狙う相手が、どうやら現在探している生徒である泉くんではないかと思い至る主人公たち。
見回りの結果、旧校舎が怪しいとの結論に。
渋る近衛を連れて旧校舎へ。



移動が前2作のメガテン方式の移動法+主観視点での詳細探索から、サイドビューでの移動+主観視点での詳細探索になっているのがかなり大きな変化。死印のときは移動法も相まって逃走イベントで迷子になってやり直しをした記憶があるため、この変化はわりと嬉しかったりします。
キャラがぬるぬる動くのと、パートボイスがあるおかげでダッシュでおじさんが息切れする様子などを観察できます。
進行と音の連動もこの形式だと実装できるので、この先に何かいるのがわかってても進まなきゃいけない……といった前作にない状況も作り出せていて、なかなか良いです。


旧校舎への渡り廊下でお目当ての生徒「泉 俊彦」を発見。
明らかにキマった様子で話もろくに聞かず旧校舎へ走り去ります。彼の去った後にはメリケンサックが落ちており、念のため回収。
泉くん、怪異に狙われているようですが言動がきな臭すぎますね。
どうやら怪異の元凶をいじめていたっぽく、あんまり守る気が湧かない……。


旧校舎に突入すると出入口の扉が開かなくなるお約束イベントが発生。こういうのはお決まりでも実際追い込まれるといい感じに効きますよね。事前に扉を開けておく理由付けが「旧校舎はカビっぽいから換気のため」なのが上手いなと思いました。



トイレの汚いゲームは良いゲーム


旧校舎の音楽室にて、汚水をまき散らすホース(?!)に襲われている泉くんを発見。
ここのスチルがほどよくモブ感のある情報量とリアルに寄せた絵柄で、そうそうこれこれ!こういうやつ!になっていました。


主人公の声に反応し、間一髪逃げ出す泉くん。後を追おうとするふたりに、獲物を失ったホースの群れが襲いかかる……!
と、いうことで、前作にあった「デッドリーチョイス」に変わる新システム「サスペンシブアクト」の登場。「誰が」「何を」「どうする」を指定することで窮地を乗り切ります。実行にはHP兼MP的な役割の「精魂」を使用。さらに、正解の組み合わせを引き当てたとしても行動には実行率という成功値があり、一定の割合で失敗する可能性があります。TRPGでの技能判定に近い感覚ですね。
ただ、デッドリーチョイスは時間制限+不正解で即死の緊迫感あるシステムでしたが、サスペンシブアクトは精魂が尽きるまで挑戦可能になっています。
デッドリーチョイスに実行率が追加されていたら正解しても確率で死ぬ運ゲーになっていましたが、サスペンシブアクトはサスペンシブアクトで失敗してもリトライできて丁寧なヒントが表示されるので逆に超絶ヌルゲー感が出ています。このあたりの調整は本当に難しいんだろうなあ……。
ホラーなんだし理不尽難易度部分があってもいいのでは?とも思うのですが、それならそれでセーブがどこでもできるようになってくれないとキツくもあるだろうし……。
ナイフを一本お釈迦にしつつも生還。


明らかに致死量の血痕を追い、空ぶったりしつつ、泉くんを探していた女生徒「堂領 姫子」がホースに捕まっているのを発見したり、もうダメな感じの泉くんを発見したり。
泉くん発見のスチルはかなり良いです。公式HPギャラリーにもある、眼窩からホースにょきにょきスチルが披露されます。
が、堂領さん発見スチル……これが本当に……ホースで宙に浮いた状態の姿なのですが、スカートが捲れて太腿が露わになっていたり、パイスラ状態のホースの影響で胸が強調されていたり、前2枚の泉くんスチルに対して明らかにキャラクター寄りテイストの表情もあり、お色気スチルですこれだけはかなりがっかり……。
本当に唯一にして最大の不満点かもしれない。


しょぼしょぼしながら泉くんを発見、公式HPでも公開のある眼窩からホースにょきにょきイラストにこう言うスチルが見たいんだよな~と溜飲を下げ、動揺して脱出した学園長を追跡。……しようとしたところで、今回の怪異に身動きを封じられ、主人公ひとりで脱出をはかることに。
案の定、泉くんは割と悪い子のようでした。
怪異との対決、本体を正面から見据えず、鏡に映った姿だけが見えている……という演出はかなり良かったです。


これにて一日目が終了。
シビト本体からの誘いに乗ることにした主人公は、引き続き学園に巣食う怪異と関わっていくことを決意するのでした。理由はわかりませんがどうやら主人公はシビトに気に入られている様子。


第二章へ続く。