ニホンゴ、チョトデキル

ゲーム中心フリースタイル妄言

「死噛 〜シビトマギレ〜」プレイ記/第二章 - 完


引き続き二章です。中盤から一気にクリアまで。
shinigami.jp


そしてガイドラインにて公開可能範囲が二章までとされているため、こちらの作品のプレイ記と感想は一旦これにておしまいです。
今後感想書いてOKそうなラインが変わりましたら全体の感想とかは書くかも。
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中盤

同行者はそのまま大門先生の状態で夜の校内へ。

ワープの移動先が増えるのはかなり嬉しいです。
サイドビューになっている場面ではフロア移動もあって端から端への移動に結構時間がかかるため、新棟と旧棟をサクッと移動できるようになるのは助かる。


旧棟への渡り廊下にて再び鐘の音が鳴り響き、主人公に精神的ダメージが。
一方同行者の大門先生にはダメージが入らないため、よほど神経が図太いのだな……と感心していたのですが、どうやら鐘は主人公にしか聞こえていないとのこと。
代わりに大門先生が行き先にシビトの姿を発見。
が、こちらも声は主人公にしか聞こえていなかったようで、シビトの謎の執着が伺えます。それか、声が聞こえるからこそ主人公に執着しているのかも? どちらにせよ見ず知らずの相手にいきなり「婿様」などと言われるのは怪異とか関係なしにかなり気持ち悪い感じでGOODです。


まずは怪異に関わりの深い場所から探そう!と道を示してもらっても、とりあえず見られる場所は全部回ってから本命に行きたくなるのはゲーム好きの悲しきサガですよね……。遺魂という収集アイテムも登場したのもあって、旧棟をウロウロ。

大門先生がバイエルくらいなら難なく弾けると言った後に本命はエレキとかいう情報を投げてきたり、なかなか愉快。
前作に比べて同行者とのやりとりがグッと増していて、この人こんないいキャラしてたっけ?! と驚く場面が多かったです。
大門先生は前作よりかなり印象が深くなりました。主人公が40代前後という年齢でありながらも、同年代かつ医者という職業もあり諭すような発言をしても違和感がないですし、ロッカーというギャップもあってシリアスとコミカルなんでもござれのキャラに仕上がっている。次章以降でも同行できたら嬉しい。



収集アイテムの遺魂。
なぜか「歯」を集めます。「死噛」ってタイトルと何か関わりがあるのか。
これが進行に関係ない部分のキャラクター情報開示に関わるらしく、必死になって探す羽目に。
発見場所に虫のイメージも付き纏ってきているため、どうしても絹川のことが過ぎります。
しかしプレイヤーがそうさせているとはいえ、小暗がりやら汚れた場所やらに躊躇なく手を突っ込み不気味な歯をあつめて回る八敷おじさん、なかなかシュール。ゴム手袋大活躍。


そして完全に存在を忘れていたタイミングで入室時にジャンプスケア演出に遭遇し尻が椅子から浮きました……こういうのは本当に動物的に驚くのを止めることができないし、悔しくてクゥ〜!!となるんですが、それでも製作陣の思う100%を享受したいしオフにするのもなんか負けたような気がするし、オフにしてたら進行に関係なくても得られない情報とかもあるかもだし……という感じでこれからもガリガリ寿命を縮めながら進めます。心臓に悪い〜!!


遺魂回収と共にキーアイテムも回収していきます。現場直行じゃなくて良かったのかも。
しかし人物ファイル内での「男って……」みたいな発言や、発見されたアイテムでのあれこれを見ていくと、堀越の秘密ってつまり……?
そして脳内で流れる西田敏行氏の歌声……(もしもピアノが弾けたなら……)


霊感体質おじさんの主人公、たびたび自分にしか見えないビジョンを目の当たりにしてSANチェックが入ります。
ちょっとヤバいものが見えてしまって……くらいのノリで多少の共有をすればいいところを、こういうものは自分だけが背負っていけばいいと誰にも話さず秘めてしまうところ、主人公という生き物の悪いところだと思います。でもそういう造形のキャラクターを好きになってしまうんですよね。


でもって、泉や(おそらく)リボンの取り巻きがしていたことは素人目から見れば殺人未遂や自殺幇助なのでは? って感じなので、これを「いじめ」の枠に当てはめる構造、万引きという言葉と共に滅ぼした方がいいよなと思います。
ホラーでは被害者が無惨に死ぬための口実のためか、こういう胸糞展開と人間性おしまい奴が出がちなんですけど、どちらかというとそういう人間に対する怒りと嫌悪感で怖さが薄れてしまうため被害者は無辜の民の方が好みです。因果応報で死なれたら溜飲が下がってしまって怪異への恐怖より親近感が勝ってしまうというか。怖さの主軸がゴアとかになりがちなので。
個人的にはファイナルデッド系の話の構造みたいなものが怖いなって思います。あれは対峙するものの正体がわかったところで運命や既に決まった結果に対する強制力のようなものが相手で、姿も形も名前もないから立ち向かい様がなくて。あとは業も因果も関係ないやつ。リングの見ただけでアウトみたいな、善悪や賢愚みたいな人間の作った価値観に一切左右されない理不尽さを見せてくれた方が、超自然的でいいなあと。


このあたり、露骨に愚かな人間・痴情・性的な尊厳陵辱・いじめ(というか迫害)・児童や動物など無抵抗のものが攻撃される、みたいなセンシティブさが極力排されていながらも、余白の残し方がうまくてずーっとしっかり怖いという点において「忌録: document X」「禁祀: occult」「フェイクドキュメンタリー『Q』」などが自分にとっての理想的なホラーなんだなと感じます。一生考察しながら噛み続けられるというのも強い。
ホラーだけじゃない要素もてんこ盛りで味わいが千変万化するため、ホラーという1ジャンルで紹介していいかわからないのですが「NOPE」もしっかり怖く、さらに話も抜群におもしろかったのでオススメです(ここ数年で観た映画の中で個人的に圧倒的No.1)


閑話休題
背後に迫る怪異に対して振り返らず、姿を直接見ないまま逃走を図るシーンなんかは緊迫感があって、ビジュアル全面押しよりもホラー度と満足度が高かったです。
完全に個人的な趣味の話なので意見が分かれる部分と思うのですが、自分はこういう演出が好き……。

終盤

必要な情報・アイテムを集め切ったところでいよいよ華子と対峙。
あれこれ探っていくうち、堀越の抱えていたものは一口に恋情や慕情とも言い切れない、友愛と境界の曖昧な何かだったんだろうなというのがわかってきました。もしかしたら本当に素直に恋愛感情なのかもですが、本人から正体を明かされない感情を他のキャラクターが勝手に想像せず「実際のところは本人にしかわからない」としていたのがよかったです。安易な百合要素みたいな扱いで終わらなかったのには安心。


今回の同行者がライブでピアノの弾き語りができるレベルの愛ちゃんと、バイエルくらいなら難なく弾けると言った大門先生の二人であることにちゃんと意味があるのが良かったです。あと地味に数回聞いただけの校歌をちゃんと歌える主人公もすごい。まさかの歌唱アリなのは正直ちょっと笑いました。マジ?!
最後の窮地、この二人以外の選択肢があった場合は前作(死印)のようにそもそも正解の同行者を選ばない限りデッドエンド直行になってしまうため、今作は「同行者の選択によって詰んでしまう」ことはなさそうです。これは個人的にかなり嬉しいポイント。居合わせた人間によってはなすすべなく死ぬしかない……という前作の理不尽さもリアルで好きなんですけどね。


これにて華子との対決には一旦の幕です。
前作のようなフラグ立てがあるのであれば、グッドエンドのためにもう一仕事あるはず。そして同行者死亡時のスチルもあるはず。ということで保健室に戻りつつも報告の前にセーブを2箇所にしておきます。


泉はともかくとして、堀越も止めることができなかったなあとしんみりしているところに大門先生の「医者なんてそんな後悔ばかりさ」という言葉が刺さりました。
確かに、現実の医療に従事している方は「ある程度の対処法はわかっているが対処できるかもしれないし、できないかもしれない」という相手と常に向き合っているわけですからね。対抗する手立てがあったとして、100%成功するとは限らない、人によっては助けなんていらないと跳ね除けて飛び出して行ってしまうことだってある。怪異へ立ち向かうこともそれに似ていて、たとえ最終章までノーミスクリアしても誰一人救えないシナリオが用意されていたとしても、じゃあ登場人物の奔走が無意味で、プレイヤーは無為な時間を消費しただけなのか? っていうとそういうわけでもないですし。


わやわやと保健室で情報共有をし、再び旧棟へ。
ラストの咀嚼スチルかなりいい感じでした!
このスチルも女性の胸元がはだけて下着が出ている状態ではあるのですが、人物の表情が見えないこともあってちゃんと怖く悍ましい雰囲気があります。やっぱりいい意味でのモブ感が必要なんだなと……。
愛ちゃんを同行者にしていた時のバッドスチルは……弾け飛ぶ瞬間をスチルにするんじゃダメだったんですか……(ただ、序盤の生徒会長宙吊りスチルよりはこっちの方が雰囲気はあったと思います)(あとこの章で死亡する同行者は愛ちゃんだけ?華子対峙後のセーブを取ってしまったため大門先生の死亡スチルがあるかだけ確かめられておらず……)


というところで、二章終幕。
これから先はひとりで黙々と進めていきます!